From Mori

ウクレレの特徴と可能性
東京ウクレレ塾創設によせて

楽器をちゃんと持てない人々。そのわけは・・・!

昨今、Low-G 弦を張っている初心者をよく見かけたり、また、Low-Gを張って当スクールに入校される人がいます。
「なぜか」と問うと、以前に習いに行ったスクールで、いきなりLow - G に張り替えさせられたとのこと。 そして、何年も習っていたにもかかわらず、楽器を普通に持てずウクレレらしい音色も出せない「弾けていない」人がほとんど。 膝の上に楽器を置いて弾くせいで、脇に抱えて弾くことができないから、立って弾けない。 おまけに、コードチェンジでウクレレを落としそうになる人がなんと多いことか。
よくよく聞いてみると、ギターやベースが専門である講師、とりわけウクレレのことが詳しくわからない、 勉強もしていない人がウクレレを教えていたり、「メロディーを弾くとき<ド(3弦の開放弦の音)>より低い音程が弾けないから」とバカげたような事を理由にしている講師が多いという事実。

それらをうけて、今回は、常々思っていること、ウクレレをする人には知っておいてもらいたいことの一部について、 少しコメントや説明をしてみたいと思います。

High‐G で 2 フィンガー奏法 これ、最高に効率的な弾き方なんです

まずは「High-G チューニングがノーベル賞ものや!」と言う理由を説明しましょう。
一音違いの音が1弦と4弦にあるということで、2フィンガー奏法で弾くと、 あらゆるフレーズがいとも簡単に、尚且つ、楽に早く弾くことができます。 また、ブロックコードでソロを弾く時、1弦だけではなく4弦にもメロディーを置いてストロークだけで しかもリズムを出しながら簡単に弾けます。

皆、4弦でも音階が弾けることをお忘れのようですね。コードの一構成音として漠然としか思っていないし意識をしていない。Low-G に張り替えている人に至っては、それこそ、3弦のド以下の音階か、和音を構成している低音くらいにしか考えていないのではないのでしょうか。 昔、ウクレレ弾きと言われる人は皆、うまく4弦を使っていましたよ。

ウクレレの特徴と可能性
ウクレレの特徴と可能性

低音域がないから弾けない?フレットは上にたくさんあるよ!

話を戻して「<ド(3弦の開放弦)>より低い音階が弾けないからLow-G に」という考え方についてコメントします。
そのように言う人は<ド>は三弦の開放弦にしかない、という考え方に囚われています。
1弦の3フレットの<ド>(他ポジションにも同じ高さのドはいくつもありますが一例として)を <ド> だと思えば、ウクレレ全体で2オクターブ以上の音階が弾けます。 そのために、高音域部分が大事だと言い続けているのです。
7フレット以上も音色が綺麗でピッチが正確に作られた「鳴る」楽器を使いましょう。
ウクレレは7フレット以上の音が命です。

プロがLow-G を張るのは勝手だが・・・!

1985年前後数年、オオタさん(ハワイ在住のハーブ・オオタ氏)がジャパンツアー(ハニーサウンズ有志で企画)に来られたその時、 僕はハニーサウンズでオオタさんのバックバンド(スティールギター担当)をしてましたが、 その頃、オオタさんは“ たまたま”Low-G チューニングで弾いておられました。
その後何人かの人(奏者であったり、スクールの代表的な人であったり)がそのLow - G を真似て、今のウクレレ界に影響を与えたのです。

オオタさんその他、プロがLow- G で弾こうがどんなチューニングで弾こうが、それは自由です。 僕も時々Low - G を使います。
しかし、それを初心者に教えるのは如何なものか、と強く言いたいです。

わざわざ、当スクールの名前に敢えて「プロ」という言葉を入れているのは、ウクレレを専門に勉強・研究したこともない人が料金をとって ウクレレを教えているケースが多いという現状に異を唱えてのネーミングだからです。悲しい事です。

代理コードの応酬だから、難しい。でも、おもしろい。

さて、最後にもうひとつ。
「知れば知るほど難しい楽器や!」「4弦ゆえに代理コードの応酬で、ある意味ピアノより難しい」と言っている意味を少しだけお話しましょう。
簡単に説明すれば・・・たとえば、ベース(根音・ルート)がC であれば、その時にはウクレレでF コードを弾こうがG コードを弾こうが、 和音(コード)としては「C」である。つまり、根音がC の時、ウクレレでF コードを弾けば6度付きのsus4。G コードを弾くとCmaj9 である、と。

このようなコード理論・考え方が常に必要になる、だから難しい。 でも、たくさんの代理コードが有り、弦が4本しかなくてもいろんなニュアンスが出せるのです。
特にJAZZを演奏する場合はこの考え方ができるかどうか、状況に応じ適切な音の選び方ができるかどうかで、大きく左右されます。 以上のようなことは、もちろんⅡ-Ⅴ理論も含めて、「音楽」を人に教える立場の人間は当然知っているはずのことですが。

ウクレレ音楽の未来・・・音楽性・感性を育てなくては。一般の方がローコードでチャンチャカ弾いて楽しむのも、それはそれでよいと思っています。 しかし、音楽性豊かにウクレレに取り組みたいと思っている方や音楽文化を護る・育てるという視座においては、 こういった知識を持つことは必要です。
まだまだテクニック的には未開発の楽器です。考え方ひとつで色々なことができる素晴らしい楽器です。
凄いプレイヤーが出没することを、心より願っております。
初心者・ウクレレを弾くアマチュアのレベルUP を!
ウクレレが今後、見た目、コストパフォーマンス、気軽さ等だけで測られ選ばれるのではなく、 音楽に親しもうとする人の間で長く流行するものであるためには、初心者のレベルアップが一番大切。

東京ウクレレ塾創設によせて
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